教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.12

2009.11.05 比較文化学科 富岡 幸一郎

チェーホフの芝居を見ました。


先日、池袋でロシアの劇作家・小説家のアントン・チェーホフ(1860〜1904)の芝居、
「タバコの害について」「白鳥の歌」を見ました。いずれも30分程の短い劇でしたが、
人生の空虚さ、老年の寂しさと悲しみを描いた内容です。特に、「白鳥の歌」は、
小さな田舎町の劇場で、誰もいなくなった舞台に老役者が酔って独りさまよいながら、
若い頃の自分の青春と芝居に命をかけた情熱を回想するという内容で、
ハムレットやリア王などのセリフを朗々と歌い上げて、自らの役者としての人生そのものが
虚構に他ならなかったことを表現しています。

 

劇団昴の創立メンバーである西本裕行と西沢利明のふたりが、老友をみごとに演じていました。
演出は、福田逸さん。福田さんは評論家の福田恒存のご子息で、現代演劇協会を主宰し、
演出家として活躍しています。明治大学の英文科の教授でもあります。
福田先生には、以前より懇意にしていただき、今回もお芝居の案内をいただきました。
芝居がはねたあと、近くの酒場でごちそうになりながらチェーホフの話を伺いましたが、
驚いたことに「白鳥の歌」はチェーホフの晩年の作品だと思っていたところ、
なんと20代の作だそうです。
人生の青春期にすでにして「白鳥の歌」を歌ってしまうというその達観と虚無の深さこそ、
ドストエフスキーやトルストイのあとに登場したこの作家の味わいがあると思います。

 

学生のみなさんも、時にはお芝居などを見るのもいいと思います。

 

(比較文化学科 富岡 幸一郎)

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