2010.03.18.
英語文化学科島村 宣男

ミルトンの影II

昨夏、寸暇を得てイタリアを再訪しました。15年ほど前のイタリア訪問は、
ローマからアルプス越えの北上の旅でしたが、今回はミラノからナポリへの
南下の旅と少し趣を変えてみました。

17世紀はイギリス・ルネサンス期の詩人・思想家ジョン・ミルトン
(John Milton, 1608-1674) は、20歳代最後の年にイタリアへの
「グランド・ツアー」に出かけています。途中、フランスでは「国際法の父」、
オランダの法学者フーゴ・グロテゥス (Hugo de Groot, 1583-1645)、
またイタリアでは「近代天文学の父」、晩年のガリレオ・ガリレイ
(Galileo Galilei, 1565-1642) といった大学者たちと親交を結びました。
イギリス国内の政情不安から、ギリシアへの渡航は断念しましたが、
このルネサンスの始原への旅は、後世のミルトンに計り知れない影響を
与えました。時空を大きく隔ててはいましたが、私はルネサンス期のイタリアに
タイムスリップしたつもりで、「ミルトンならこう見ただろう」という思いを込めた
批判的な眼で観察することを心がけたことでした。

以下の2枚のショットは、私の愛機NIKON(D90)の見た現代イタリアの一部です。

サンタ・クローチェ教会(フィレンツェ)にかかる七色の虹

14世紀末に完成した、このフランチェスコ修道会の教会には、ミケランジェロ、
ダンテ、マキャヴェッリ、ガリレオなど、錚々たる人々の墓碑が残っています。
フィレンツェの酷暑は、地獄もかくやと思われたことでした。

サン・ピエトロ広場(ヴァティカン)と天空の十字架

時期的にバカンス・シーズンだったこともあり、この直径200mに及ぶ楕円形の
大広場も思いのほか訪れる人の数も少なく、大聖堂に入る直前、雲一つない
青空を偶々見上げると、飛行機雲が「十字架」を描いていました。

(英語英米文学科 島村宣男)