教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.46

2011.02.10 英語文化学科 多ヶ谷 有子

熊野比丘尼を訪ねて

私は英語英米文学科に所属して、特に、中世のキリスト教の煉獄(れんごく)と日本の仏教の地獄を比較しながら、死後の救済がどのように受け止められてきたかについて研究しています。

 

その一環として、12月のはじめに熊野に出かけました。世界遺産でも知られるこの地は「地獄絵」の絵解きでも有名です。神仏習合の熊野三山(新宮、本宮、那智)に所属する「熊野比丘尼(くまのびくに)」が「熊野観心十界図」を掲げて、諸国で絵解きをして、死後の世界を思い、良く生きるようにと説いていたのです。

 

現在、新宮市の熊野速玉大社(新宮)近くで、熊野比丘尼に扮する女性によって絵解きの実演が行われていると聞き、現地へ赴き、絵解きに与(あずか)ったという次第です。

 

熊野比丘尼に扮する女性による絵解き

 

神倉神社ご神体の巨岩と階段

 

この大社の神様はまず神倉山の巨岩の上に降臨しました。その後、現大社地に移ったので、新宮と称するのだそうです。神倉神社では、毎年2月6日のお燈祭りのとき、前日から白いものを食し、白装束に身を包んだ男性が松明(たいまつ)をもち、ご神体の巨岩のすぐ下から538段続く急峻な石段を2000人もの大集団で駆け下りるとのことです。「お燈祭りは男の祭り、山は火の滝、くだり龍」と歌われる勇壮な祭りです。

 

神倉神社火祭りの参加者の姿

 

写真はその祭りに参加した少年の姿です。このりりしい少年は絵解きをしてくださった女性のお孫さんだそうで、この写真は新宮市の街中観光案内にもあります。古来から続く祭りが今なお若い人たちに受け継がれていることを知り、深く感動したことでした。

 

(英語英米文学科 多ヶ谷有子)

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