教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.199

2018.11.02 英語文化学科 児玉 晃二

謎の“xh”

 今年から担当する講義科目『アメリカの言語文化』の準備で、アメリカの音楽文化について調べていたときのことです。アメリカの民族音楽であるカントリー・ミュージックの最近の動向を探っていたところ、ビービー・レクサ(feat. フロリダ・ジョージア・ライン)という女性シンガーの歌う”Meant to Be”という曲が、今年上半期のスマッシュヒットとなっているという情報を見つけました。テイラー・スウィフトがカントリーを半ば「卒業」して以来、ヒップホップやR&B、EDMが席巻する全米の総合ヒットチャートにおいて、カントリー・ソングを目にする機会は少なくなりつつあり、ある程度実績のあるシンガーであってもまれです。
 
 ただ、私が曲以上に興味をもったのが、このアーティストの名前です。「ビービー」(Bebe)は何かの愛称だとして、問題は姓の「レクサ」(Rexha)。この”xh”という組み合わせは、明らかに英語圏の姓に使われるものではなく、ヒスパニック系でもユダヤ系でもなさそう。率直に言って、あまり目にしたことないものです。
 
 この”xh”をめぐる謎が解けたのは、6月に行われたサッカーのワールドカップのときのことです。スイス代表の二人の選手がセルビア戦でゴールを挙げた際に、政治的なパフォーマンスをして罰金を課せられるという騒動がありました。二人の名前はそれぞれグラニト・ジャカ(Granit Xhak)とジェルダン・シャキリ(Xherdan Shaqiri)。そうです。あの”xh”の持ち主です。では、”xh”はスイス人の姓に使われるのかというと、それもハズレ。二人は旧ユーゴスラヴィアのコソボにルーツをもつアルバニア系のスイス人で、パフォーマンスは今もコソボに住むアルバニア系住民に対する支持表明でした。つまり、”xh”はアルバニア語に特徴的な綴りだったという訳です。実際に、ビービー・レクサの両親もアルバニアからアメリカに移住した方だとか。
 
 そんな彼女が歌うカントリー・ソングが全米でヒットを飛ばしているという事実は、この伝統的な音楽ジャンルの現在の広がりと、アメリカが今も移民大国であることを表すひとつの例なのかもしません。
 
 
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