2019.05.22.
英語文化学科松村 聡子

小説を読んでコミュニケーション能力を上げよう!

「大学に入って英語のコミュニケーション能力を上げたい」という高校生の声を聞くことがあります。そこで「コミュニケーション能力って具体的にどういうこと?」と聞くと、たいてい「英語で話すこと」という返事が返ってきます。確かに英語をストレスなく使いこなして世界中の人たちと自由に話ができたらステキですよね。でも「コミュニケーション能力」=「話すこと」なんでしょうか?辞書による「コミュニケーション」の定義を見てみると、広辞苑では「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達、言語・文字その他の資格・聴覚に訴える各種のものを媒介とする」とあります。また、ブリタニカ国際大百科事典によると、「言語、身ぶり、画像などの物質的記号を媒介手段とした精神的交流のこと。語源はラテン語で『分かち合う』を意味するcommunicare」との記述もありました。つまり、コミュニケーション能力とは、単に話す力があるというだけではなくて、様々な知覚や感情、思考を相手と分かち合い、相手に共感し、理解を広げることができる能力と言えるのではないでしょうか。
私はイギリスの小説を専門としていますが、小説をあまり読まない、という学生が増えてきているように感じていて、とても残念に思っています。小説を読むことは、単純化して言ってしまうと、自分でない誰か別の人についての物語を読むことです。そこには、その誰か別の人の行動ばかりでなく、感情や認識、思考が描きこまれています。とりわけ外国の小説を読むことは、違う文化や歴史を背景にした別の誰かの人生の物語に共感し、理解を深める力を培うことにもつながります。したがって、小説を読むことも、コミュニケーション能力を上げるひとつの手段になりうると思うのです。