2019.11.13.
比較文化学科君塚 直隆

即位礼正殿の儀に出て参りました

 去る10月22日に天皇陛下の「即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)」が皇居で行われましたが、私もこれに参列させていただくという光栄に浴することとなりました。
当日はモーニングコートに身を包み、参列をご推挙くださった内閣府に集合。国民栄誉賞を受賞された将棋の羽生さん、サッカーの澤さん、レスリングの伊調さん、そして野球の王さんなどがご一緒でした。それからバスに乗り込み、皇居へ。この日は国内外から2000人以上のかたが参列されたため、皇居はバスや専用車でごった返しておりました。
儀式は午後1時から始まりましたが、私は豊明殿(ほうめいでん)という宮中晩餐会などを行う一番大きな部屋で控えておりました。即位礼はそこから遠く離れた「松の間」で行われるため、豊明殿に設えられた巨大なスクリーンを通じて儀式を拝見いたしました。
儀式が始まる前の午後12時台には、雨風がともに強まり、中庭の旗が吹き飛ばされるようなこともございましたが、1時ちょうどに陛下がお姿を見せると同時に雨風もピタリとやみ、日光まで差し込んできました。そして30分で儀式が終了すると、再び曇り空に。これには参列したかたがたのすべてが驚いておられました。
内閣府には午後4時近くに戻って参りまして、私はそのままNHKのスタジオへ。午後5時からの特番と「ニュースウォッチ9」に出演し、当日の儀式の感想や、ヨーロッパ王室での儀式との違い、さらに皇室とヨーロッパ王室との関係などについて解説しました。
この翌週の29日には「饗宴の儀(きょうえんのぎ)」にも出席させていただきました。またまた内閣府に集合してバスで皇居へ。今回は招待客も600名程度でしたので、「即位礼正殿の儀」の時に比べますと、スムースに皇居を出入りできました。
皇居に着くと、まずは即位礼で天皇皇后両陛下が使われた「高御座(たかみくら)」を見学させてくれました。日本の工芸技術の粋を結集したような見事なものでしたが、果たして次の即位礼の際(何年後になるかわかりませんが)に再現できるような職人さんたちを確保できるのか、少し心配になりました。
皇居の長い廊下をぐるりと回らせていただいたのは今回が初めてでしたが、奥村土牛(おくむらとぎゅう)画伯の『富士』や東山魁夷(ひがしやまかいい)画伯の『朝明けの潮』などの名画にも直に接することができました。
午後3時から饗宴も始まり、私がおりました「春秋の間」にも両陛下や皇族方がおいでになりました。私もそのうちのおひとかたと現代における皇族の活動についていろいろとお話しさせていただきました。
イギリスを中心とするヨーロッパの王室について長年研究してきた私ですが、日本皇室の宮殿に入らせていただき、重要な儀式を間近で拝見させていただいたのは今回が初めてです。その意味でも今回の参列は、私にとりまして貴重な「フィールドワーク」の機会になったのかもしれませんね。


「饗宴の儀(きょうえんのぎ)」の記念品のボンボニエール