教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.147

2015.12.11 比較文化学科 安井 聖

草の根から平和を創る

 6月16日(火)金沢文庫キャンパス(国際文化学部・社会学部)K-211教室で、『草の根から平和を創る――大虐殺から21年、癒しと和解の歩みを続けるルワンダで学んだこと』と題してキリスト教講演会(大学宗教教育センター主催)が行なわれました。講師は佐々木和之先生(プロテスタント人文・社会科学大学教員、日本バプテスト連盟国際ミッションボランティア)でした。佐々木先生はルワンダで起きたジェノサイド(集団殺害)の加害者であるフツ族の人々と、被害者であるツチ族の人々が、過去の惨劇を乗り越えて和解するために、長年現地で働いておられます。
 
2015-06-16キリスト教講演会@金沢文庫キャンパスK-211057(400)
 
 佐々木先生はキリスト教系NGO「リーチ」の働きを通じて、「修復的正義」(被害者と加害者が直接に語りあってどうすれば被害者の傷が癒されるかを共に考え、ただ加害者を罰するのではなく誠実に償わせることで両者の関係の修復をはかり、このようなやり方で正義の実現を目指す活動)の理念を大切にしながら、ツチ族、フツ族の一人一人と関わり、具体的な和解の実現のために草の根の活動をしておられます。そういう和解のための具体的な援助と取り組みがあってはじめて、両者が疑心暗鬼を乗り越え、一緒に平和に生きる社会を造っていくことが可能になるのだと思います。
 
2015-06-16キリスト教講演会@金沢文庫キャンパスK-211090(400)
 
学生たちの感想(抜粋)
・「ジェノサイド」という言葉は、今までも聞いたことはありましたが、それは漫画やゲームの中の架空の話でした。なので佐々木先生が話された、ルワンダで実際にあった生々しいお話しを聴き、とても苦しい気持ちになりました。教会堂の中に追い込み、その中に手榴弾を投げ込んで殺したという話にとてもショックを受けました。教会、神社、お寺の建物は清らかな場所というイメージがあったので、その中でジェノサイドが行なわれたことが信じられませんでした。でも加害者たちを受け入れることのできた被害者たちの心の広さには驚かされました。逆に自分の心の狭さに気づかされて、恥ずかしくなりました。これだけ心を豊かに、穏やかにさせるキリスト教はすごい宗教だと思いました。
 
・悲しみ、苦しみ、憎しみの思いを経験したであろう被害者の人々が、キリスト教の教えにのっとり、加害者の人々の謝罪を受け入れて赦していることは、本当にすばらしいと思いました。反面、自分にはできないかもしれないと思いました。
 
・虐殺をしてきた人がどんなに罪を悔いたとしても、過去は絶対に消すことはできないですし、赦されていいともわたしには思えません。この地球には本当にいろいろな考えや信念があるのだなと思います。
 
・加害者が罪赦されることによってこそ、本当に自分の罪を認め、罪責を担って生きる決意をすることに繋がるのだということがよくわかりました。
 
・わたしたち日本人は、過去の事実を知らなくてはならないと思いました。何も知らずに、何も償わずに、世界諸国と共に生きていくのは矛盾しているなあと痛感しました。過去と向きあい、事実を知ることから始め、共に平和に生きていけるような行動をすることが重要だと思いました。
 
 
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