教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.238

2021.12.15 比較文化学科 大内 憲昭

『見えてくる南北分断の姿』

 大学の図書館の金沢文庫分館で2021年度企画展示第5弾「見えてくる南北分断の姿」を開催しています(2021年11月11日~12月17日)。
 この展示企画は私の大内ゼミ2年生と金沢文庫分館が共に、資料をセレクトして展示を行っています。

 私は比較文化学科で「憲法」と「現代の朝鮮半島」を講義しています。2022年3月で定年退職を迎えますので、それを機に、私のゼミと分館と合同で「見えてくる南北分断の姿」展を企画しました。
 展示のテーマは、「推しのメンバーが人気絶頂期にも関わらず兵役に行くのはなぜでしょうか。K-POPや韓国映画、韓流ドラマが世界を席巻していますが、その背景にある「南北分断」について、あなたは知っていますか?」ということにあります。
 2年生のゼミ生と図書館が共に、資料(図書)や南北分断をテーマにした映画のDVDをセレクトして展示しています。
 また私の朝鮮民主主義人民共和国関連の所蔵品の一部も展示しています(下記の写真)。

 朝鮮半島は戦後(解放後)、北緯38度線で南北に分断されています。そして1953年以降、今日まで「朝鮮戦争」(1950~1953)は「停戦」状態のままです。2018年の韓国平昌オリンピックを機会に、南北首脳会談そして初めての米朝首脳会談が開始され、一時期は朝鮮半島に「平和」の兆しが見えかけましたが、米朝会談が不調に終わり、南北関係も進展しませんでした。そして2020年・21年のコロナ感染の世界的な流行拡大に伴い、朝鮮半島を巡る外交も停滞してしまいました。
 展示では、軍事分界線を挟んだ板門店の北から、また南から見た写真を展示しました。

写真は北緯38度線は挟んでの南北の状況(上が北・下が南)
並んでいる書籍は私のゼミ生が選んだ韓国の関連図書

私は、この企画展示に以下の文を寄稿しました。

<企画展示「見えてくる南北分断の姿」に寄せて>
 私が大学に入学したのは1970年4月。大学紛争が収束に向かっていました。大学紛争の残り火とともに、70年安保闘争、沖縄返還闘争で大学ばかりか国内が騒然としていました。アジアに目を転じると、中国では「プロレタリア文化大革命」という大混乱の時代、そしてベトナム戦争。朝鮮半島は依然として「分断」状況。そのような時代に法学部で学び始めました。大学紛争、70年安保、沖縄返還、その中に身を投じて学生運動を経験しました。おそらく現在の大学でそのような状況を経験した最後の世代でしょうか。
 学生運動は私の学びの方向を根本的に変えました。
 司法試験をやめて学びの場を模索して、3年生のゼミナールは「憲法」と「中国法」を選択しました。両方ともに、以後、学部・大学院を通して指導教授になる針生誠吉先生が指導されました。先生とはそれから半世紀近くご指導を受けましたが、残念ながら昨年の11月3日に亡くなられました。享年93歳でした。
 3年生での「中国法」ゼミは、ちょうど日中共同声明(1972年9月)が出され、日中間に国交が回復した年でした。そこから社会主義(法)を学び始めました。人文学部でロシア語、朝鮮語、経済学部で社会主義経済論などを学びました。
 大学院では修士課程(博士前期課程)で中国法・ソ連法の比較研究を行い、博士課程(博士後期課程)では一番近い社会主義国家である朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の法を中心に研究しました。
 1980年8月に朝鮮を訪問して以来、2019年までほぼ毎年、訪朝して学術交流を進めてきました。2004年5月には「朝鮮民主主義人民共和国学位学職授与委員会」から「法学博士」を、2011年7月には「朝鮮民主主義人民共和国親善勲章第2級」を授与されました(展示)。
 朝鮮半島には第二次世界大戦後、唯一残った分断国家である〈大韓民国〉と〈朝鮮民主主義人民共和国〉という二つの体制の異なる国家が存在しています。その分断を象徴しているのが北緯38度線です。北緯38度線は朝鮮の人々が自ら決めたものではありません。1945年8月10日の夜から11日の未明にかけて開かれた米国の国務・陸軍・海軍三省調整委員会で、若い将校2名がわずか30分で北緯38度線を分断線として提案し承認され、それをソ連のスターリン首相が認めたのです。そして朝鮮戦争により、北緯38度線は両国を分ける分断線として70年近くにわたって固定されているのです。
 今、「終戦宣言」がとりざたされています。果たして、停戦状態に終止符を打つ「終戦宣言」を行い、「停戦協定」を「平和協定」に変え、朝鮮半島に統一国家が実現するのでしょうか。
 みなさんも、この展示をご覧になって、分断状況を考えてみてください。朝鮮を36年(1910~1945年)にわたって植民地統治をした日本(人)にとって無縁ではないのですから。

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