教員紹介

国際文化学部教員コラム vol.240

2022.01.05 比較文化学科 鄧 捷

北京第二外国学院とのオンライン学生交流会

 12月4日に国際文化学部比較文化学科は、本学の交流協定校である北京第二外国語学院日本語科の学生とオンライン交流会を開催しました。
     
 北京第二外国語学院(以下は二外と略称)と本学は2008年より協定を結び、留学をはじめとしてさまざまなかたちで交流を深めてきました。比較文化学科では、「外から見た日本」の授業で二外の先生を教壇に迎えたり、「ワールドスタディ」の授業で学生を引率し二外を訪問したりして、教員及び学生の交流を行ってきました。ところが、2020年以来の新型コロナウイルス流行により、これまでの交流形式は困難になったため、オンラインでの新しい交流方式が模索され、その努力の成果は今回のオンライン学生交流会となりました。
 交流会のために、両校の学生は発表のパワーポイントを作成し、司会の段取りを考案するなど、多くの準備をしてきました。当日、両校から50名ほどの学生・教員が参加し、「日中のコロナ対策及びその中の大学生活」、「2020東京オリンピックの開催及びボランティアの在り方――2022北京冬オリンピックに向けて」、「中国の大学生から見た日本と日本人」という三つのテーマで報告は行われ、さらに質疑討論が行われました。発表や司会を担当した両校の学生はともに入念な準備をしたため、100分間という短い時間内に非常に新鮮で充実した交流を行うことが出来ました。
 今回の交流会を企画・準備する中、若い学生の気合と温かい気持ちを感じさせてくれたのは、二外の学生が作った交流会のポスターです。ポスターには両校の校章が並び、中央に大きく握手の絵が占め、まわりに交流会のテーマに関連する三コマの絵が配置し、さらに「山川異域、風月同天」という古い言葉とともに「雲端中日青年友好交流会」(オンライン中日青年友好交流会)は書かれています。
                   
 多くの人が知っているように、「山川異域、風月同天」は2020年湖北省武漢市に新型コロナウイルスが発生した時、HSK(中国語検定試験「漢語水平考試」の略称)日本事務局が湖北に支援物資を送る際の箱に記された言葉です。当時、中国で大きく報道され、日本でも話題になりました。この言葉は、かつて、日本奈良時代前期の政治家長屋王(684-729)が中国・唐の高僧に送った1000着の袈裟の縁に刺繍された言葉の一部で、その続きは「寄諸仏子、共結来縁」となり、その意味は「別の場所に暮らしていても、自然の風物はつながっている。この袈裟を仏弟子に喜捨し、ともに来生の縁を結ぼう」というものです。この言葉は鑑真(688-763、中国揚州の人、奈良時代の渡来僧、日本律宗の祖)を感動させて、鑑真の来日につながったとも伝えられています。
 こういった言葉や故事を見ると、日中両国は実に旧くて長い交流の歴史を持ち、また、その交流は基本的に友好的なものであったと、あらためて噛みしめるのです。近代以後の侵略や戦争も、1972年以後の両国の人々の努力によって乗り越えられ、現在の平和で友好的な日中関係となったものです。現在、日中の間に何かトラブルや困難が生じますと、中国の人々がよく口にする言葉は、「歴史を鑑(かがみ)にし、未来に向かう」というものです。この言葉は日本人にとってあまり馴染みのないものですが、一方、中国人にとって耳にタコができるほど聞かされてきたものです。しかし、古臭いと思われるこの決まり文句は、めざましい変化とおびただしい情報の中に生きる若い人々を前に教壇に立つ私にとって、まるで喧噪や動揺の中の拠り所のように、また知の権威が疑われる風潮の中の羅針盤のように感じるのです。なぜなら、困難に直面した時、私たちが頼れるのはかつて発生した経験、則ち歴史しかありません。未来はまだ訪れず、それは期待できますが、そこから経験を汲み取ることが出来ません。学べるのは歴史です。「歴史を鑑にする」という姿勢は東アジアの伝統であり、智慧であります。この二年間の新型コロナウイルスの流行によって、ぬくもり感覚の、人と人のコミュケーションが阻害され、両国間、大学間の交流が困難に陥り、この困難を克服しようとする時、私たちに勇気を与え経験を提示してくれるのは、やはり過去の交流史の中の人と事であり、二外の学生が作ったポスターにあったような1300年もの昔の人々の言葉であります。
 今回のオンライン交流会は学生たちが主役で、私のような教員はあくまでもサポート役に過ぎなかったですが、それでも個人的に得たものが多くありました。新型コロナウイルスの流行で留学や国際交流が難しくなったものの、国際文化学部では外国の大学と新しい交流の仕方を構築しています。今後も、より多様で柔軟なやり方を実施できるように努力していきます。今回の交流会はその最初の一歩となりました。
 最後に余計な追記を置きます。去年、日本でマスクが品薄になった頃、かつて関東学院大学に留学していた中国人の学生や保護者が中国から多くのマスクを大学、またはお世話になった老教授のもとに届けてくれました。遅ればせながらこの場を借りて心からの感謝を申し上げます。

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