2024.06.24.
英語文化学科入江 識元

航空業界あるある――飛び交いがちな業界用語

皆さんはACと書いたら何を表していると思うでしょうか。
私は真っ先に「航空機」(aircraft)か「航空管制」(air control)、あるいはエアカナダあたりが思い浮かびます(学内ではある部署を思い浮かべる方がほとんどかもしれません)。

航空業界ではCRSシステムを用いて搭乗者管理や個人情報記録を行っています。
この個人情報のことをPNRというのですが、これを作成・管理する予約案内業務(リザベーション・コントロール)で用いるCRS端末は英語のみに対応しているため、入力などすべてを英字で入力する必要があります。

また、航空業界では1語を2字の略語で表したり、複数の語で構成された単語を略語で表すのにスラッシュ(/)を用いることがあります。会話では略して「スラ」と言います。

T/Oは「離陸」(takeoff)でW/Bは「ウェイト・アンド・バランス」(weight and balance)という意味で、ロード・コントロール(重心管理)で用います。

航空業界では、端末から入力する際、簡単な英語表現などは単語を省略して入力するのが慣例です。
たとえば、u/cは、unable to contactで、お客さまと連絡がつかなかった場合に入力して、他の社員が開いたときにわかるようになっています。
面白いのは、これを会話で用いる時は「ユー・スラ・シー」とは言わずに、「○○様とはウナコンでした」などと「ウナコン」と言うときがあることです。
a/oなら「~現在」(as of)。コメント欄に受付日時を書いて、いつの情報かが誰が見てもわかるようになっています。

こうした社員同士がお客さま情報を更新していく欄のことを「リマークス」(remarks)と言っています。手で入力する場合はRMKSなどと記入します。
この用語がキャビン・サービスになると「要注意人物」の意味として「リマ」の略語で用いられます。

「アサップ」(ASAP)はいろいろな業界で用いられることが多いと思います。「できるだけ早く」「なる早で」(as soon as possible)の意味です。
これは旅行業界などでは「ウナ」(至急)等の言葉に置き換えられることがあります。
「ウナ」は企業でも「ウナ電」などの用法で昔から使われてきましたが、「先方にウナ電をお願いします」と言われて新人が「鰻丼(うなどん)」の出前を頼んだというギャグもバブル前にはよく聞かれました。
ある企業では、「至急連絡をお願いします」を「ウナレラヨロ」等とメモ書きするそうです。かなり日本語的な表現で親しみが持てますね。航空会社だと「連絡」はCTC(contact)と表記します。
ちなみに「お願い」はPLZ(またはPLS)なので、ここは「ASAP/CTC/PLZ」と表記します。皆さんは「ASAP/CTC/PLZ」と「ウナレラヨロ」のどちらが使いやすいですか。

似たような用法をもう一つ、二つご紹介します。一つめはお客さまのご予約のお取り消しについてです。取り消しは「CNL」と表記され、口頭では「キャン」とも言います。
「予約」はRESなので、「予約のお取り消しをお願いします」は「RES/CNL/PLZ」となります。これが某エージェントさんだと「取り消し」は「トケ」なのでシンプルに「トケヨロ」となります。
二つめのネタは(ネタと言っちゃってますが)、予約の「確認」についてです。
こちらは航空会社では「コンファーム」(confirm)と言っています(国際線ではさらに、乗り継ぎの予約再確認が重要な業務になりますので、これをリコンファーム=reconfirmと言って区別しています)。
某エージェントさんのネタばかりになりますが、この「確認」のことを「カニ」と呼ぶんだそうで、贅沢な水産物がお好きなようです。
そうすると「確認をお願いします」は「カニヨロ」。
航空・旅行をミックスしたら「ウナカニ/PLZ」。OJTならほんとにウナギとカニを金沢(QKW)、高知(KCZ)あたりで買ってくるかもしれませんね。
(以上は、航空会社によって多少事情が異なります。他社は別の用法ということもありますのでご了承ください。)