教員紹介
鄧 捷

鄧 捷

担当科目

中国語表現、中国研究入門、中国語の言語文化、東アジア文化論 他

氏 名 鄧  捷 (トウ ショウ)
所 属 国際文化学部比較文化学科
専門分野 中国近現代文学
最終学歴 東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻中国語中国文学専門分野博士課程 文学博士(課程博士)
研究テーマ 中国近現代詩、聞一多、格律詩、魯迅「野草」、原三渓の漢詩
主要業績 単著『中国近代詩における文学と国家―風と琴の葛藤』御茶の水書房、2010年
論文「『愛国』と『文芸』のはざまで―聞一多と清華圏の詩人たち」『日本中国学会報』第52集、2000年10月
論文「一九二〇年代中国におけるタゴール受容と聞一多の格律詩―『人格』・鄭振鐸・徐志摩・『黒屋』を媒介とした一試論」『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第7号、2004年7月
論文「他者としてのまなざし―江文也の詩を読む」『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第8号、2005年7月
論文「穆木天における『国民文学』の試行―女性・カフェ・故国と象徴詩」『神話と詩』第6号、2007年12月
論文「魯迅「野草」世界の秩序―「過客」に仕組まれた志向図式の開示の試み」『野草』第87号、2011年2月
メッセージ  大学生時代に天安門事件という流血の学生運動があり、私はそこで価値観の大きな崩壊を体験しました。その翌年、招聘学者として、ある日本人の先生が大学にやってきました。先生は授業の傍らよく北京を題材に詩を書かれていました。明帝十三陵の「柿」を描いた「夕景」という詩は、今でも鮮烈に記憶しています。「明帝十三陵は 森林と沼地に沈んでいる/地下宮殿の北側には 柿木畑が広がっている/その窪地に 農民がたむろし/城壁の上の観光客のもとめに応じて/柿の実を抛り上げる/受け損ないは 宮殿の尾根に染まって潰れる/明帝十三陵が 森林と沼地に沈んでいる」。今の中国の大地で実を結んだ柿と、遥か遠い昔から存在し続けてきた宮殿の尾根、窪地にいる土臭い農民と城壁に遊ぶ観光客――この構図は事件後の中国社会を大きな時空で捉えているように思えました。また、私にとっては「柿」を詩に描くこと自体がとても新鮮でした。「柿」は食べられるから「俗物」であり、私の感覚では、詩に詠む対象にはまず成り得ないものでした。大学の学生寮の周囲には柿の木が何本もあり、私は毎日その下を通っていましたが、柿に視線を向けたことは一度もありませんでした。それまでの私にとって自明だった世界は、日本人の先生の詩によって突き破られたのです。
 同様に、みなさんが比較文化科で四年間学ぶということは、見慣れた「柿」を「風景」として再発見することだといっても過言ではありません。他の国の文学・文化を知ることは、自国や他国への自明性(自明であるがゆえに多くの問題を不問のままにおくこと)を突き破り、驚きに変えていく過程でもあります。四年間はあっという間に過ぎるでしょう。若い感性が最も輝くこの時期に、様々な言語的、文化的、社会的「風景」が見つかるよう、努力してください。
ゼミナール ゼミでは中国の社会、文化及び20世紀以後の文学を学んでいます。
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