2018.05.25.
比較文化学科安井 聖

新しく生まれる力

 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれた者も皆そのとおりである。

ヨハネによる福音書第3章8節

 先日、関東学院大学宗教主事会議の定期刊行物『告知板』2018年5月号が発行され、学生たちに配布されました。その表紙には「Pentecost」(ペンテコステ)という言葉が書かれています。ペンテコステとは、クリスマス、イースターと並んで世界中のキリスト教会が大切にしている祝日です。聖霊降臨日とも呼ばれ、毎年5~6月のいずれかの日曜日に祝われます。今年は5月20日でした。

新約聖書のヨハネによる福音書には、イエス・キリストがニコデモという人物と対話をなさった様子が書かれています。イエスは年老いたニコデモに言われました。「あなたは新しく生まれる必要がある」。けれどもニコデモは答えました。「こんな年寄りのわたしが新しく生まれるなんて、そんなの無理です。もう一度お母さんのお腹の中に入るなんてばかげたことを、あなたは言っておられるのですか」。するとイエスは言われました。「新しく生まれるのは、あなたが自分の能力、自分の経験、自分の努力に頼ってできることではない。新しく生まれる力を与えてくださるのは、聖霊(神の霊)なのだ。しかも聖霊は風のように、思いのままに、自由に働く。どう転んだって自分が新しく生まれるなんて無理だ、とあなたが諦めているとしても、聖霊はそんなあなたの諦めの気持ちに縛りつけられるようなお方ではない。あなたの思いをはるかに越えて、聖霊は自由に働くのだ。あなたも聖霊の働きに自分を委ねてみないか」。

どうやったって自分にはできない、そんな諦めの心がいつの間にか自分の心を支配していることに気づかされる時、わたしはこのイエス・キリストの言葉をよく思い起こします。神はわたしたちを心から愛しておられる。だからこそ神は聖霊を惜しみなく与えておられるのだ。だから、たとえあなたがどんなに困難な中を歩んでいるとしても、あなただって新しく生まれることができる。そのような希望を、イエス・キリストは語りかけておられます。