先日、比較文化学科の海外研修科目、ワールドスタディで、フランスのパリに行ってきました。その様子はまた別の機会に書きたいと思いますが、最終日、学生たちの買い物に付き合ってオペラ・ガルニエ(オペラ座)の近くを歩いていた際、留学中によくこのあたりに来ていたことを思い出しました。
オペラ・ガルニエはいうまでもなく非常に有名な観光地の一つで、近くにお土産の買える大きなデパートが並ぶこともあり、界隈にはたえず大勢の観光客がいます。人混みのあまり得意でない私が、なにをしにパリの輝く中心たるこの場所に来ていたかというと、端的にいって漫画を買いに来ていました。
フランスでは、日本の漫画やアニメが若い世代を中心に非常に人気で(ヨーロッパで一番ではないかと思います)、イベントも数多く行われています。なぜ日本の漫画がフランスでこれほどの人気を博するのかは考えてみるに値する問題だと思うのですが、まあ小難しいことはさておき、私も日本にいるころから漫画が好きで、とくに週刊の某少年誌を幼少期からずっと読み続けていました。フランスではさすがに読めないかなと思っていたのですが(今のように電子版もなかった時代で)、なんと、パリには日本のジュンク堂書店があり、そこで買えたのです。そしてそのジュンク堂書店があったのがオペラ・ガルニエの近くで、私は当時、毎週のように、というか毎週、住んでいた寮から歩いて一時間近くかけて(電車賃節約のため)ジュンク堂に通い、某少年誌を購入してまた歩いて一時間かけて帰る、という生活をしていました。
やはり漫画が人気だからか、ジュンク堂は地下一階がすべて漫画のコーナーで、そう広くはないものの、そこにはフランス語に翻訳された膨大な日本の漫画が並んでおり、それをフランスの特に若い人たちが熱心に眺めていて、日本人としてなんだか嬉しいような誇らしいような、しかし当時すでにアラサーだった私は、ちょっと恥ずかしいような気持になりもしました。
ちなみに某少年誌は、価格が日本で買う場合のおよそ三倍でした。それはまあいいとして、問題は入荷の時期で、通常は日本の発売日から数日の遅れで入ってくるのですが、たまに(日本のほうの発売日がいつもと違ったりして)入荷が遅れることがあり、そんな日は、今のようにネットで事前に調べたりもできず店頭ではじめてそのことを知って、徒歩で往復二時間がむだになり、なんの罪もないガルニエ宮を苦々しく眺めながらオペラ通りをとぼとぼと歩いて帰ってきたことを思い出します。
また、今はもうなくなってしまったようですが、当時はこの近くにブックオフもあり、そこにもたくさんのフランス人が日本の漫画や本を買いに来ていました。フランス人の店員さんがあまりに流暢な日本語で「いらっしゃいませ、こんにちはー」と挨拶されるので、はじめて行ったときはびっくりした覚えがあります。
漫画は面白いですよね。好きな漫画のフランス語の翻訳を買ってフランス語を勉強するというのもいいかもしれません。私も以前、浅野いにおの『ソラニン』のフランス語版を買って読んでいました。(続く)

※ 写真はワールドスタディの際にオペラ地区のギャラリー・ラファイエットの屋上で学生たちの長い買い物の待ち時間に撮ったものです(写っていませんが左のほうにオペラ・ガルニエがあります)。パリは高い建物がないのでここからでもエッフェル塔がくっきりと見えます。



