2015年9月9日、イギリスでひとつの記録が更新されます。現女王、エリザベス2世がイギリス歴代君主のなかで最長の在位記録を塗り替えるのです。これまでの最長在位は女王の高祖母(ひいひいおばあちゃん)にあたるヴィクトリア女王(在位1837~1901年)の63年7ヵ月(厳密には2万3226日と16時間23分だそうです)でした。下の写真が、若き頃のヴィクトリア女王です。大英帝国最盛期の女王ですね。
彼女が亡くなったのは1901年1月のこと。ちょうど20世紀が始まったときでした。その20世紀の前半に二度も世界大戦を経験したイギリスは、ヴィクトリア時代とは比べものにならないほど衰退しました。今年は、第二次世界大戦終結から70年を迎えますが、戦後7年近くを経た1952年2月にエリザベス2世は即位しました。
「女王の御代(みよ)にこの国は栄える」。25歳で即位した若くて美しい女王の登場に、戦後の窮乏生活で打ちひしがれていた国民も沸き立ちました。そのイギリス国民の多くも、まさかこの女王がヴィクトリアを超えて、「史上最長の女王陛下」になるとは思っていなかったでしょうね。
イギリスの君主には、ヴィクトリア以降、在位記録を国民とともに祝う「ジュビリー」という記念行事があります。この写真は1977年に行われたエリザベス女王の「在位25周年記念(シルヴァー・ジュビリー)」です。世界中に拡がるコモンウェルス(旧英連邦)諸国から首脳たちが集まり、お祝いしました。
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次は2002年の「在位50周年記念(ゴールデン・ジュビリー)」です。この写真にある黄金の馬車でバッキンガム宮殿から記念礼拝の行われるセントポール大聖堂までロンドンを横断して、国民から祝われました。
そして2012年には「在位60周年記念(ダイヤモンド・ジュビリー)」が行われました。この年はロンドンでオリンピックとパラリンピックも開催されましたね。ロンドンが世界中から注目を集めた年でした。オリンピックの開会式では、女王陛下がジェームズ・ボンド(007)と会場にスカイダイビングするひとこまもありましたね。こちらのカードは、女王の在位記念に筆者に送られてきたものです。
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9月9日には特別な行事は予定されていませんが、来年には女王陛下は90歳の誕生日を迎えられます。6月にはまたまた国民とともにお祝いする行事が組まれています。普通であれば、90歳の女性は家でのんびりしているところですが、2014年度の女王の国内での公務は196件、さらにイタリアとフランスにも公式訪問し、今年に入ってからも6月にはドイツで戦後70年を迎えました。さらに11月には地中海に浮かぶマルタに赴き、コモンウェルス諸国首脳会議にも出席されます。
ご高齢にもかかわらず、イギリスのため、世界のために日夜努力されているからこそ、女王陛下の慶事に国民はまさに国を挙げてわがことのようにお祝いするのでしょうね。