2010.09.23.
比較文化学科矢嶋 道文

江戸の「鎖国」は日本の文化遺産

皆さん こんにちは。文学部比較文化学科の矢嶋です。

コロンビア大学「学問の女神像」と私

趣味と私:
趣味は陸上(小学生コーチ)と空手(現在2段位)です。陸上は大学時代(関東学院大学)中・長距離の選手でした。空手は大学院(22歳)からです。全日本準優勝した大学チームでは白帯からスタートし、4年間で黒帯を取りました。空手は陸上と違い、怪我はつきもので、骨折は男の勲章と思っていました。

勉強と私:
勉強は40歳から55歳までの15年間を命がけでしました。この間、1冊の本を書き上げたのですが、これが私の研究上・教育上の生命線となりました。

農家から頂いた採れたてのピーマンと私の本(岩手にて)

もともとからだの弱い私が命がけで勉強出来たのも、陸上と空手で鍛えたおかげと友人や先輩には感謝しています。勉強の専門領域は、江戸時代の「鎖国」論です。「鎖国」といっても、長崎を通じての対オランダ、対中国貿易があったのですが、輸入品を見ると、白砂糖、高級織布、将軍用の鷹、漢方などの贅沢品です。私の考えでは「鎖国」=自給自足論ですから、これらの輸入品がなくても国民生活(人口およそ3千万人)は成り立っていたと考えています。今は輸入品目の一つである漢方薬について、果たして「国民的」(庶民的)であったのか否かを、昔から日本にあった野草(生薬・民間療法)との関連で調べています。

北海道の某大学で育てられている薬草

「鎖国」と農業:
「鎖国」下の日本では、稲が育ちにくい対馬藩〈朝鮮から供給〉などを除き、およそ200年の間食料輸入がありませんでしたので、ほぼ完全な食糧自給自足社会でした。そして、これを支えていたのが、江戸時代の農業(二宮尊徳たち)でした。今年もゼミ生の協力の下、サツマイモとサトイモを作っていますが、小さな苗から収穫までには5ヶ月〜6ヶ月かかります。農業はそれほどの時間と労力がかかりますので、「鎖国」下の日本人には相当程度の粘り強さと根気が養われたものと思われます。

芋畑と基礎ゼミ1年次生

(比較文化学科 矢嶋道文)