春学期がはじまり、数週間たちました。文学部の学生の皆さんにとっては、授業の時間割も決まり、部活やサークル、アルバイトなども含めて、新しい生活のリズムができ始めたころではないでしょうか。
私は、この春学期は、文学部の共通教育科目として「芸術学」という授業を担当しています。この授業では、映画を、映像と音響を駆使した総合芸術として捉え、映画史上重要な作品をいくつか取り上げながら、その表現の魅力がどこにあるのかについて見ていきます。この授業の履修登録者数はかなり多いので、出来るだけ大勢の出席者に伝わるよう、大事なことは繰り返し説明してみたり、そうはいっても単調にならないようにその都度説明の言い回しを変えてみたりなど、工夫しつつ進めていきたいと思います。
ところで、私は、大学の授業とは別に、映画の上映企画への協力もしています。ちょうど現在、以下の上映企画が、東京・京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンター(英語名はNational Film Center、略称NFC)で催されています。ゴールデンウィーク中の5月4日までの開催です。
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2012-4/kaisetsu.html (上映企画ウェブサイト)
今回私が行ったのは、「よみがえる日本映画vol.4[大映篇] ―映画保存のための特別事業費による」全24作品の作品解説(上のウェブサイトで各作品名をクリックすると解説が表示されます)と、「企画の見所」の執筆です(「企画の見所」のほうは、フィルムセンターが隔月で発行している『NFCニューズレター』第102号に掲載されています)。
フィルムセンター(NFC)は、日本で唯一の国立映画機関です(http://www.momat.go.jp/FC/fc.html (フィルムセンター・トップページ))。その専門性を生かした上映企画・展示企画が見所です。「よみがえる日本映画」は、シリーズものの上映企画で、フィルムセンターが平成21年度補正予算の映画保存のための特別事業費により、既にネガが失われマスター・ポジ、上映プリントのみが残されている旧作映画からネガとニュー・プリントの作成を行い新たに購入した作品を順次公開するものです。これまで映画館のスクリーンでの上映が長らくかなわなかった(ゆえに観客の目に触れる機会も少なかった)作品たちを、映画会社別に紹介していく形式をとっており、今回は第4弾目の大映篇です。すべてニュー・プリントですから、初公開から半世紀以上経っているとは思えないほど、非常に美しい映像となっています。
現在は、DVDやブルーレイ、地上波やBS・CS放送、さらにはインターネットの映像配信など、映画を見るのに様々な選択肢がありますが、映画館の大スクリーンで見るのはやはり格別な経験です。フィルムセンターの上映は特にお勧めです。
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教員コラム