4月28日(土)から7月8日(日)まで鎌倉文学館で「カマクラから創る――藤沢周・城戸朱里・柳美里・大道珠貴」を展示します。この企画展の監修は私がやりました。ちょうどこの4月から同館の館長に就任したこともあり、いま鎌倉に住んで創作活動を展開している3人の作家と1人の詩人を紹介できることは、いい機会になりました。
鎌倉は明治以来、保養地として人気を集め、多くの作家や詩人、歌人や俳人たちが集ってきた土地です。夏目漱石も北鎌倉の円覚寺に参禅しています。詩人の中原中也は、寿福寺に一時住んでいました。また、作家の川端康成、大佛次郎、里見弴や林房雄、評論家の小林秀雄なども鎌倉に長く住んでいます。自然と歴史に恵まれた土地柄もありますが、源頼朝が開いたこの武家の町には、静かな佇まいのなかに、背筋をピンと張りつめたような気配があります。仏教の歴史では、鎌倉新仏教といわれる流れがここで形成されました。日本人の宗教心やスピリチュアルな魂に大きな影響を与えています。
こうした風土と歴史は、いまにも引き継がれています。今回文学館で紹介する文学者たちはいずれも東京から引っ越してきた方々ですが、鎌倉に住むことで、その創作に更なるインスピレーションを得て、現代日本文学の表現の最前線にたっています。
鎌倉文学館は旧前田侯爵邸をそのまま用いて展示をしていますが、三方を山に囲まれ、湘南の海を一望できる素晴らしいスポットです。5月の終わりには、庭にあるバラ園が美しい色彩をさらに添えてくれることでしょう。 鎌倉文学館のホームページにぜひアクセスしてみてください。
鎌倉文学館ホームページ :http://www.kamakurabungaku.com/index.html
6月17日(日)14時〜15時の30分、鎌倉商工会議所ホールで「カマクラから創る」のシンポジウムをやります。パネリストは藤沢周・城戸朱里・柳美里の御三方で、司会は富岡がやります。