2015.03.27.
比較文化学科富岡幸一郎

楊逸先生 シルクロードを行く

本学の客員教授をしていただいた作家の楊逸先生の最終講義が今年1月19日(月)に金沢文庫キャンパスで行われました。

楊先生は中国ハルピン市のお生まれ。1987年に留学生として来日、2008年に「時が滲む朝」で外国人として初の芥川賞を受賞、以後次々に作品を発表してこられました。受賞直後から文学部の客員教授として毎週講義をご担当いただき、大学主催の講演会やシンポジウムに何度もご参加いただきました。

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今回のテーマは、夏に訪れたシルクロードの旅のお話しで、ウルムチ、トルファン、敦煌、西安のルートです。シルクロードには、西域南道、天山南路、天山北路という大きく三つの道がありますが、今回の先生の旅は北路を軸に砂漠を渡っていく長大なものでした。ウルムチでは、楼蘭の美女と呼ばれるミイラや国際大バザール、トルファンでは、砂漠の地下用水路やウイル族の古集落など、また敦煌では漢代の関所の跡など、シルクロードを辿る旅は、現代から古代への時間の旅でもあります。

楊先生には、西遊記(中国の明代の長編小説)を現代の日本語で書く構想があると伺いましたが、今回のシルクロードの旅はその取材も兼ねているとのことでした。西遊記は孫悟空などのキャラクターで、日本でも大人気ですが、中国出身でありながら日本語で小説を書き続ける楊先生が、どんな物語を描くのか今からワクワクします。日本語による新たな世界文学を発信する先生の仕事から目を離せません。

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文学部は本年から、社会学部と国際文化学部となって改めて新たな出発をします。比較文化学科も様々な試みをしていきたいと思っています。異文化との出会い、というキーワードを大切にして。楊逸先生のシルクロードの旅のお話しは、民族・文化そして信仰を考えさせる内容でした。まさに日本・日本語という異文化を生きる現代の小説家の、中国と大陸との新たな出会いの道、それが今回の旅であったと感動しつつ伺いました。

楊逸先生、ありがとうございました。