7月中旬に国際文化学部とアジア工科大学院(Asian Institute of Technology)との連携事業として、バングラデシュの政府系開発機関Palli Karma-Sahayak Foundation(PKSF)代表団をKnowledge Exchange Visit(知識交流訪問)として受け入れました。
訪問のテーマは「Graduation of Enterprises from Small/Micro to Medium to Large Enterprises」。日本の中小企業の成長戦略とその支援について学ぶことを目的としています。本学の専門家による講義や横浜の企業訪問を経て、最終日のワークショップおよび発表では、「日本のものづくりやサービスの原点には、誰かの役に立ちたいという思いがある」「社会の課題にアプローチするという目的を持って働くことの意義」「横浜市の中小企業支援は、単なる金銭面や制度面の支援だけでなく、企業価値向上に向けた認定や表彰なども積極的に行っており、エンパワーメントの姿勢が強い」ことなどの重要性が振り返られていました。
今回の受け入れは学内外の協力なくては実現できないものでした。今後もこうした連携を継続・発展させ、国際的な活動を広げていきたいと思います。
オープニングセッションの様子はこちら:https://univ.kanto-gakuin.ac.jp/topics/20250716-001.html
最後に、全日程サポートをしてくれた大学院生の振り返り記事を紹介させていただきます。
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バングラデシュの方々との一週間
7/13(日)~7/19(土)の七日間、バングラデシュからの15人の視察団をお迎えしました。バングラデシュはインドの東側に位置し、1971年に独立を果たした、後発発展途上国でありながら急速な開発成長を遂げている国です。彼らはPKSFというグラミン銀行のシステムを活用している団体と、その関連する財務省、NGOからなるメンバーです。
私は本学大学院文学研究科日本比較文化専攻修士課程一年の飯島彩花です。今回は、立場の異なる専門家の方々と、英語でコミュニケーションをとること、そしてそもそもバングラデシュについて学びたいと思い、サポートをさせていただきました。


7月13日、成田空港に着いた彼らを迎えました。彼らはよく写真を撮っていました。記録し、あとで家族や職場の人と共有することが重要なのだそうです。彼らのほとんどが日本に初めて来ており、とてもワクワクしているように見えました。

到着翌日は東京散策で、家族へのお土産を真剣に選んでいる彼らのサポートをしました。浅草寺に訪れた際には、人力車に乗る方や仲見世通りをゆっくり歩いて「これは何?」「あれは何?」と興味津々で通りのお店を見て回る方など、おのおの浅草を満喫されていました。その中で、「バングラデシュだとこの10分の一の値段で買えるよ!」と日本の物価の高さを表情豊かに驚く場面に遭遇し、物価の違いを実感したのと、それすらも楽しむ彼らの明るさに元気をもらいました。

3日目は、関東学院大学・関内キャンパスでオープニングセッションが行われました。経営学部の唐沢先生による基調講演では、日本企業の技術とイノベーションの概念を、先進事例を交えて解説されており、たいへん興味深く、私も聞きいってしまいました。セッションが終わり、横浜の街を見て回りました。途中強い雨が降ってランドマークタワーに避難したり、そこで礼拝の時間を迎えたり、日本のハラルラーメンを食べに行く予定が天ぷらそばに変更になったりと、ハプニングが起きつつも初めての横浜を満喫されているようでした。
夜には、テンネー記念ホールでよさこいサークル「誇咲」の演武を鑑賞しました。初めて見たよさこいのしなやかなで力強い舞の迫力は圧巻で、みなさんは学生のエネルギーに驚き、感動されていました。

夜のウェルカムディナーは、関内キャンパスのBacon Cafe and Booksで行われました。その時間のなかで、彼らが話すベンガル語のあいさつや彼らの名前の意味、彼らの家族についていろいろお聞きしました。常に家族を大切にする文化に心をうたれました。
4日目は横浜の企業訪問でした。そのなかで神奈川トヨタ様では、外国人技術者の日本語教室、修理工場、販売店を見学しました。日本語教室では、授業風景の見学だけでなく、勉強している方々に母国以外で働くことについて話を聞くことができ、現場に外国ルーツを持つ方々が増えていることを実感しました。

5日目は、午前は日清カップヌードルミュージアムの見学、午後は横浜市経済局中小企業支援課と横浜IDECを訪問しました。ミュージアムでは、創業者の安藤百福が日清をどのように大きくしてきたのかをいろいろな展示から楽しく学ぶことができました。しかし、カップヌードルを作る体験ではすべてのスープに豚エキスが入っているため、ムスリムの彼らは味なしカップヌードルになってしまいました。外国人観光客が増えるなか、誰もが楽しめるような対応が必要であると感じました。
横浜市経済局では横浜市の中小企業の実態と支援について、詳しく学ぶことができました。また、横浜IDECからは特に国際的な中小企業への支援について、具体的な説明をいただきました。
この日の夜は、なんとクルージングディナーでした!!海の上では、様々な感情が交差しつつも盛り上がり、予定にはないバングラデシュの詩や歌を聞かせていただきました。その代わりに、急きょ学生三人で「上を向いて歩こう(SUKIYAKI)」を披露しました。立場や国を超えた交流ができ、とても充実した時間を過ごすことができました。

6日目はこの研修の振り返りとクロージングが行われました。この日のサポートメンバーの学生は、クロージングで急遽必要になった文房具の買い出しや、コーヒーブレイクとお昼ごはんの準備など、てんてこまいでした。指示を聞くだけでなく、自分たちで考え行動し、クロージングのサポートを完遂することができ、自分の持つ能力の確認と成長を実感できました。
最終日、彼らが帰る日にも同行しました。彼らと別れるとき、一週間やり遂げた安心感と家族や友達のようにあたたかい彼らと別れることの寂しさと悲しさで、涙が止まりませんでした。それを見て彼らが「連絡するから」「安心して、また会えるから」「バングラデシュにおいで」とやさしい言葉をかけてくれて、また泣きました。見えなくなるまで手を振ってくれました。
私にとってこの一週間は、自分の成長が自分だけの力ではなく周りの人たちのおかげであることを痛感した一週間でした。バングラデシュという国、彼らとの違いに触れて、自分のすんでいる日本への解像度が上がった一週間でもありました。いつか必ずバングラデシュに行こうと思います。それまで、バングラデシュについて調べ、ベンガル語を話せるように学びを広げたいと思っています。本当に楽しく、勉強になる充実した一週間でした。
